灰被り作品に魅力を感じて火前床に置いて焼成するも、なかなか確率がよくない。マキに当たり割れたり、作品同士がくっ付いたり、壁に寄り掛かったりする。
それで窯詰めのとき、前列の棚組のステンレス棒の届く位置にあらかじめ詰めておく。焼成中盤にその作品をオキの中に落とし一昼夜ほどしてからステンレス棒にて、ひっかけて早出しする。するとかなりの確率で灰被り作品が取れる。(以下の写真参照)
作品の一例

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マキを入れれば次第に温度は上がっていく。ただ窯上部の温度と下部の温度の差はどれくらいか知っているだろうか。それに気が付いたのは最初に窯を焚いてから、なんと15年も後である。
備前焼成時どうしても後ろの列に入れたものが生焼け状態になり、後ろの温度を上げれば今度は前列のものが焼けすぎになってしまう。窯の最後部の横に横穴をあけ、そこからマキを入れられたら後列も温度が上がると考えた。横穴は意外と簡単に開いた。折角だからそこに温度計を入れて温度を測定することにする。するとどうだろう、上と下では200度も差がある。マキの多くべをすると温度は上がるのではなく、強還元がはたらいて温度は下がっていく。どうしようと迷っていた時下の温度が上がっていくではないか。つまり、多くべをすると上の温度が下がり下の温度が上がっていく。これを続けるとなんと上の温度と下の温度が同じに、いや下の温度の方を上げることすらできるのである。
窯焚をしだしたとき温度計はつけない方がいいと教わった。それは温度計に支配され1°2°に一喜一憂するからであると。温度よりも窯の雰囲気(酸化、還元等)を大事にしろと云うことである。その為よくわからないまま、窯焚を続けてきたように思う。このことが分かってから備前は素晴らしくいいものになった。信楽の場合はもっと100度以上温度を上げるので、窯の一部がもし低い温度でも気が付かなかったのだろう。実際分からないまま多くべは行っていたので・・。随分遠回りしたように思えた。このことが後に行う釉薬の焼成でも役に立つのである。