徐冷焚きー志野、備前と述べてきましたが、最終段階の窯の閉じ方が重要なのは信楽も同じです。信楽の場合は急冷することもあります。急冷するとビードロがきれいな緑色の発色になります。意識的に焚口を開けたまま急冷したこともありました。

作品①は特に急冷や徐冷を行わずに窯出された作品です。

作品②は徐冷焚きを行った作品です。テカリが抑えられ渋みのある作品で、赤っぽくなるのが特徴と言えます。

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備前焼は10日~14日間窯を焚き続けなければなりません。それを5日間で焼成できないかと思い試してみました。

作品①はその時の作品です。焼締らしくはできているが、備前らしくない。どうしてなのか?温度が高すぎたのかと思ったのが間違いの始まりでした。その後温度を少し抑え色々焚き方を工夫しましたがなかなかうまくいきません。

その後徐冷したらどうかと思いつき、焼いたのが作品②です(冷まし焚き9時間)。どうにか備前らしくなりました。ただ備前らしくはなりましたが、歩留まりが悪すぎ、生焼けが沢山出来てしまう。窯内の温度に、ばらつきがあるからです。火前は高温になり後列下段は温度が低すぎる。改善すべくその後温度計を上下2か所に設置し色々焚き方を変えて窯上下の温度差を無くすことに成功しました。これにはほんと苦労しました。
備前を5日間で焼くという無謀なチャレンジで何度も挫折しそうになりましたが、どうにか満足のものが取れるようになった(8年かかりました)こと、その過程も楽しめ今ではいい体験ができたと思っています。
志野を穴窯で焼いていますが、以前にも紹介したように、あくまで信楽を焼くとき、一緒にサヤに入れて焼いているので、どうしても徐冷(24時間)が難しくなります。志野作家加藤孝造氏の窯焚をビデオで見たことがありますが、窯自体の構造が違い、燃焼室と焼成室が別れていて、最終段階で燃焼室いっぱいにマキを入れ、焚口を閉じていました。大量に投入されたマキが徐々に燃え、次第にオキになり灰化していくので、ゆっくり冷めていくのが想像できます。

写真①は最終段階でそのまま終了したときの作品で緋色が出ていません。

写真②は徐冷を意識して焼き上げたもので緋色が出ています。

写真③は、ガス窯で(全行程75時間)志野を焼いたときの色見本です。25時間かけて1250℃から950℃まで冷まし焚(酸化)をした時のテストピースを見ると、1050℃~950℃で緋色が出ているのが確認できます。
| 時間 | 写真左より 50h1250℃ | 65h 1080℃ | 70h 1050℃ | 75h 950℃ |
| 焼成過程 | 徐冷前 | 徐冷途中 | 徐冷途中 | 徐冷終了 |
| テストピースの状態 | テカリ有 緋色無 | 少しテカリ有 緋色無 | ややマット 少し緋色 | ややマット状 緋色 |