徐冷焚きー志野

志野を穴窯で焼いていますが、以前にも紹介したように、あくまで信楽を焼くとき、一緒にサヤに入れて焼いているので、どうしても徐冷(24時間)が難しくなります。志野作家加藤孝造氏の窯焚をビデオで見たことがありますが、窯自体の構造が違い、燃焼室と焼成室が別れていて、最終段階で燃焼室いっぱいにマキを入れ、焚口を閉じていました。大量に投入されたマキが徐々に燃え、次第にオキになり灰化していくので、ゆっくり冷めていくのが想像できます。

写真①

写真①は最終段階でそのまま終了したときの作品で緋色が出ていません。

 

 

 

写真②
写真②

 

 

写真②は徐冷を意識して焼き上げたもので緋色が出ています。

 

 

写真③
写真③

 

写真③は、ガス窯で(全行程75時間)志野を焼いたときの色見本です。25時間かけて1250℃から950℃まで冷まし焚(酸化)をした時のテストピースを見ると、1050℃~950℃で緋色が出ているのが確認できます。

 

時間 写真左より        50h1250℃ 65h     1080℃ 70h 1050℃ 75h 950℃
焼成過程 徐冷前 徐冷途中 徐冷途中 徐冷終了
テストピースの状態 テカリ有     緋色無 少しテカリ有  緋色無 ややマット  少し緋色 ややマット状 緋色

黄瀬戸の焼成法

これまで黄瀬戸は酸化焼成とずっと思いこみ釉薬の調整を行ってきました。5年ほど前、身延の穴窯で釉薬焼成を試みたことがあります。その時の黄瀬戸の色が、あきらかにガス窯での色と違う事に驚かされる。

そこでガス窯でマキ窯焼成の再現ができないか?ということになったのである。その時の温度記録をもとにできるだけ忠実に温度管理、特に酸化と還元状態に注目しながら窯を焚いてみた。

すると酸化一本で焼いたときと全く違う発色を得ることができた。その後何度かの窯焚で複雑すぎる焼成をできるだけ単純化して変わらない色を出す焼成法にたどり着いた。

穴窯で黄瀬戸を焼成
その時の温度記録

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

御本手焼成のときの「半使」の焼成法に似ているかもしれない。これはあくまで私の焼成法であり、この他の焼成法を否定するものではありません。
まだ完成とはいえないがこの焼成法でもっと納得のいく黄瀬戸の追及を目指したいと思う。

 

ある日の窯出

窯出は毎回緊張だ!恐る恐る・・・

 

 

 

きれいな黄色のQ釉だが、使ってみると味わいに欠ける気がする

 

 

 

 

そこで 右 釉薬の少し薄掛け   焦げがあると味わい深くなる

 

 

 

 

これも薄掛け

 

 

 

同じく

 

 

 

 

 

 

並べると違いが分かる

 

 

 

二度焼きしても焦げが出る(一度目はきれいな黄色でした)

 

Q釉とは違う釉薬だが、土、釉、焼成方法すべて同じだが釉薬の濃度が違う。左が一番濃い、中が一番薄い (上から撮影)

 

横から撮影

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

他の配合でも少し薄掛けの方が味わい深い

釉薬は皆違う(横から撮影)

 

 

上から撮影

 

 

 

 

 

 

また違う配合も色々試験してみた

 

 

 

 

 

 

土による違いを試験したが、少し薄掛けしすぎたので写真ではよくわからないがまた次が楽しみです

 

 

 

 

 

 

 

 

 

色々な角度から黄瀬戸を焼いてきたが、釉薬調合のほかに、とにかく焼成方法が一番重要であり、次が釉薬の濃度で、少し薄掛けが良いように思う。

次回はその焼成法を紹介する

 

 

 

黄瀬戸ケース1

A1,A2から始まり~現在R2だから50くらいのサンプルを焼いてきたと思う。これ以上進化しないので中断してきたが、ある作家の黄瀬戸を見たことがきっかけで、また始めて見ることになった。

 

サンプル番号Q3という釉でこれまでになくきれいな黄色に発色した

 

 

 

 

これもQ3ですが土、釉は同じですが焼成方法が違う

 

 

 

3種類の土で同じQ3釉を焼く

 

 

 

 

焼き方、釉が同じで、土が違う

 

 

 

このように、土と釉との相性、そして何より焼成方法で仕上がりが、こんなにも違くなってしまう。
追及すると無限にテストしなくてはならない・・恐ろしくなる。
でもしばらくは、このQ3釉で可能性を探ってみようと思う。

 

志野ケース2

ケース1の結果を見て、弱口志野3を作り焼成してみた。
配合は志野1:志野2=6:4

土の違い

これまで、どれ程の種類の土を試しただろうか。

  1. 古信楽穴窯用粘土をかわきりに
  2. 「桂5号」
  3. 信楽炎色粘土
  4. 古陶土大
  5. 伊賀土
  6. 「彩」
  7. そして終盤主に用いた、きのせ原土に古信楽をブレンドした土 等々 信楽だけでもこれだけある。

焼いたときの焼き方の違いはあると思うが残っている写真を掲載する。

特筆すべきは窯詰め時となりに窯詰めされた2つの花器がある。比べると一つはつや消し調でマットな仕上がりであるのに対しもう片方はつやが有るという点である。窯内の環境は同じなのに土によってこうも違うものか。                                                                          

 

信楽の緋色

信楽の焼成で、前列ではビードロ、後列では緋色が取れるとよく聞きます。私の経験でもそれは確かだと思います。ただ、今回今までに見たことのない緋色の出方に驚かされました。

いつもは壺や花入れの、外側が緋色でも、内側は、白かせいぜいクリーム色が一般的でした。それが今回は窯出時全員が驚いた。「中まで真っ赤だよ」と誰かが云った。実はこの写真の壺は骨壺でした。最後の窯焚でしたので、今しかないと思い、「終の棲家」を製作したのでした。あまりのきれいな緋色に、早く入ってみたい(笑)。

いつもはマキを焚き口から投げ入れるとその時は色見穴から火が噴き出すのですが口を閉めると火は出なくなります。それが煙道ダンパーをある程度閉めることで口を閉めた後も火が噴き出し続けます。強い還元状態が長い間かかったのではと推測します。

追記 この時同時に焼かれた志野もピンク色になっていた。大発見か?最後の窯焚でわかるのも皮肉なものである。

信楽の早出し

灰被り作品に魅力を感じて火前床に置いて焼成するも、なかなか確率がよくない。マキに当たり割れたり、作品同士がくっ付いたり、壁に寄り掛かったりする。

それで窯詰めのとき、前列の棚組のステンレス棒の届く位置にあらかじめ詰めておく。焼成中盤にその作品をオキの中に落とし一昼夜ほどしてからステンレス棒にて、ひっかけて早出しする。するとかなりの確率で灰被り作品が取れる。(以下の写真参照)

 

作品の一例

 

備前の焼成法

マキを入れれば次第に温度は上がっていく。ただ窯上部の温度と下部の温度の差はどれくらいか知っているだろうか。それに気が付いたのは最初に窯を焚いてから、なんと15年も後である。

備前焼成時どうしても後ろの列に入れたものが生焼け状態になり、後ろの温度を上げれば今度は前列のものが焼けすぎになってしまう。窯の最後部の横に横穴をあけ、そこからマキを入れられたら後列も温度が上がると考えた。横穴は意外と簡単に開いた。折角だからそこに温度計を入れて温度を測定することにする。するとどうだろう、上と下では200度も差がある。マキの多くべをすると温度は上がるのではなく、強還元がはたらいて温度は下がっていく。どうしようと迷っていた時下の温度が上がっていくではないか。つまり、多くべをすると上の温度が下がり下の温度が上がっていく。これを続けるとなんと上の温度と下の温度が同じに、いや下の温度の方を上げることすらできるのである。

温度表示窯焚をしだしたとき温度計はつけない方がいいと教わった。それは温度計に支配され1°2°に一喜一憂するからであると。温度よりも窯の雰囲気(酸化、還元等)を大事にしろと云うことである。その為よくわからないまま、窯焚を続けてきたように思う。このことが分かってから備前は素晴らしくいいものになった。信楽の場合はもっと100度以上温度を上げるので、窯の一部がもし低い温度でも気が付かなかったのだろう。実際分からないまま多くべは行っていたので・・。随分遠回りしたように思えた。このことが後に行う釉薬の焼成でも役に立つのである。

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